音風景ブログ

目隠しテストによるエンコーダの音質評価などを行うブログです。

MP3,AAC,Ogg Vorbisの音質比較

注意

このページは残しておきますが、データが古いので、最新の試聴テストの方をおすすめします。

注意

AACは地雷エンコーダが多く出回ってるので注意してください。(目安:iTunes>neroAACEnc>>壁>>FAAC,ffmpeg詳しく)

案内

AACの比較をみたい方は、"AACの音質比較"をご覧ください。
MP3の比較をみたい方は、"LAME、午後のこ〜だ、Helixの音質比較""MP3 192kbpsの音質比較"をご覧ください。
MP3とAACの比較を探しにきた方は、MP3,AACの音質比較の方がよくまとまっていると思います。

結果


近似曲線なし

neroでエンコードしたAACOgg Vorbisが全ての場合でMP3よりも有利となった。

MP3では、VBR-NEW V=5で、たいていの音が「少し気になる」よりは良い程度になるが、たとえフォーマット上最大の320kbps固定にしても、カスタネットやfatboyの音は依然「区別できる」。
AACでは、トライアングル等の例外を除くと、128kbps abrでは「区別できるが、気にならない」以上の音質を得られる。
参考までに、専門家による試験http://www.nhk.or.jp/strl/open99/happyo/c2/sld024.htmでは、全ての楽器で、144kbpsで「区別できるが、気にならない」以上の音質が得られ、128kbpsと160kbpsには有意な違いがあり、144kbpsはその中間、という結論が得られている。(11/16追記)また、224kbps abrの「愛があれば大丈夫」では、トライアングルの高域減衰を聞き取ることで、やっとこさ統計的有意に(29回正解/40回,0.3%)区別することができた(neroはアタック音が苦手なので。iTunesAACなら大丈夫)。


OGG Vorbisは、おおむねAACと同じくらいの性能だが、低ビットレートOGGは強く、高ビットレートAACは強い(エンコードにneroを使った場合の話。ffmpegを使うとそんな結果にはならないので注意。)。一貫してaoTuVの作者は品質一定(VBR)を前提に開発しているので、高い音質を得るには品質(q)指定を使う必要がある。q=4(128kbps相当)以上を指定すると、ほとんどの音源で「区別できるが、気にならない」程度以上の音質になる。品質一定なので、生成するファイルのビットレートは音によって2倍以上も違ってくる。また、前回の実験で、q=7.5(240kbps相当)では、全ての音源で、全く違いが分からなかった。

実験過程

特に圧縮音源に不利な楽器を含む6種の音源を、MP3はLAME v1.32 e3.98、Ogg VorbisはaoTuV beta5.7、AACはneroAACEnc 1.5.1でエンコード
ヘッドホンはMHP-A1、親機とPCを光デジタル接続。22歳、部屋の騒音をなるべく排除して試験。
音質の高い順に並び替えた後で評価。明らかな劣化が無い場合は、ABXテスト(ブラインドテスト)を10回行って、8回以上劣化を聞き取れる事を確認した。

音源の詳細

true my heart-Lovable mix-/ave;new feat.Saori Sakura
【出典】True My Heart [DVTS-2121][07.09.03] トラック01
愛があれば大丈夫/広瀬香美
【出典】広瀬香美 THE BEST "Love Winters" [VICL-60305][98.11.11] トラック01
27-カスタネット音源
【出典】EBU–TECH 3253 SQAM http://tech.ebu.ch/publications/sqamcd
applaud.wv
【出典】The Eagles Hotel California (Live)
fatboy.wv
【出典】Fatboy Slim You've Come a Long Way, Baby トラック06 Kalifornia
Tarentella. Tarantella calabrese.wv
【出典】http://anonymousriver.hp.infoseek.co.jp/Tarantella/index.html(詳細不明)
音を聞いてみたい方は、http://zak.s206.xrea.com/bitratetest/main.htm

エンコード時の注意

MP3は最低・最高付きの品質一定、OGG Vorbisは品質一定、AACはABR(ターゲットビットレートを設定)。
CDexに初期付属しているOGG Vorbisエンコーダ(aoTuV)は古く、カスタネットでの結果が非常に悪い。
最新のaoTuVに置き換えることを非常に強く推奨する。
MP3はvbr-new,q=2, 最小32kbps,最大320kbps,Output Samplerate=44100, Private,Checksum,Original,Copyright全てオフ
On-the-fly MP3 Encodingはオン。
neroAACEncのオプションは、-lc -br 128000等。

感想

AACは過渡音と定常音に強い。OGG Vorbisは、人工音・低ビットレートに強い。
よってクラシックっぽい音ほどAAC、打ち込みに近い音ほどOGG Vorbisが向いている。

反省点

  • ビットレート側では、極端に悪い成績のものを除いた集合の平均、高ビットレート側では、最も悪い成績側に近づくようにフリーハンドで近似曲線をひいたが、任意性が残る。
  • グラフの50〜100kbps域にアイコンが集中しすぎて見づらい。
  • どれがどのコーデックか見える状態で試聴、並び替えを行ったので、先入観を排除できない。
  • 2010/11/3追記。MP3への評価が甘かったかもしれない。true my heart以外では、V=5は「やや気になる」くらいの評価が妥当かもしれない。
  • 2011/02/11追記。ABC/HR法(銘柄も伏せたブラインドテスト)を使ったテストがとっても充実してきたので、検索で飛んできた方などは、新しいテスト結果の方を主に見るといいんじゃないかと思います。