音風景ブログ

目隠しテストによるエンコーダの音質評価などを行うブログです。

エンコーダごとのMP3,AAC,OGGの音質比較

注意

このページは残しておきますが、新しい記事の方をおすすめします。("MP3,AACの音質比較"とか"160kbpsでのMP3,AAC他の音質比較"とか"MP3 192kbpsの音質比較"とか)



ABC/HR法による音質評価一覧。
1=非常に気になる 2=気になる 3=少し気になる 4=違いが分かるが、気にならない 5=元の音と区別できない

64kbps付近

フォーマット MP3 MP3 AAC-LC AAC-LC OGG Vorbis
音源\エンコーダ LAME 3.92 LAME 3.98 neroAACEnc iTunes 10.0 aoTuV 5.7
設定 CBR64k VBR V9 ABR64k ABR64k q0
true my heart 1.6 1.7 2.4 2.3 3.3
愛があれば大丈夫 1.5 1.7 1.9 1.7 2.6
27-カスタネット 1.6 2.2 2.4 2.4 2.2
拍手applaud 1.5 1.9 2.2 2.3 2.5
fatboy 1.2 2.0 1.8 1.5 3.0
Tarentella 2.0 2.2 2.1 2.5 1.1
評点合計 9.4 11.7 12.8 12.7 14.7
全サイズ(KB) 365 407 366 401 453

OGGが最も高い評価になったが、サイズが設定よりも大きくなる傾向があるし、管楽器サンプルであるTarentellaでは壊滅的な音になった。AACでは、neroAACEncとiTunesが互角だが、サイズを見るとneroAACEncの方がコンパクト。MP3はこもった感じが大きく、ノイズも気になった。

128kbps付近

フォーマット MP3 MP3 AAC-LC AAC-LC OGG Vorbis
音源\エンコーダ LAME 3.92 LAME 3.98 neroAACEnc iTunes 10.0 aoTuV 5.7
設定 CBR128k VBR V4 ABR128k ABR128k q4
true my heart 5.0 5.0 4.2 5.0 5.0
愛があれば大丈夫 3.0 4.3 3.1 3.9 4.0
27-カスタネット 2.2 2.8 3.5 3.9 4.0
拍手applaud 2.4 4.2 2.9 3.6 3.1
fatboy 2.1 4.0 3.4 4.5 3.8
Tarentella 3.2 3.0 3.8 4.9 4.9
評点合計 17.9 23.3 20.9 25.8 24.8
全サイズ(KB) 731 946 701 744 853

iTunesの128kbps AACが最も高音質。昔のLAMEエンコードしたMP3 128kbpsには、「3=少し気になる」よりも低い評価となる音がちらほら。
音源をダウンロードしたい方、試聴したい方は、http://zak.s206.xrea.com/bitratetest/main.htm

192kbps付近

フォーマット MP3 MP3 AAC-LC AAC-LC OGG Vorbis
音源\エンコーダ LAME 3.92 LAME 3.98 neroAACEnc iTunes 10.0 aoTuV 5.7
設定 CBR192k VBR V2 ABR192k ABR192k q6
true my heart 4.0 5.0 5.0 5.0 5.0
愛があれば大丈夫 4.2 3.8 4.6 4.4 4.5
27-カスタネット 2.1 3.5 4.2 5.0 4.6
拍手applaud 4.2 4.4 5.0 5.0 5.0
fatboy 2.4 4.1 4.2 5.0 5.0
Tarentella 5.0 3.8 5.0 5.0 5.0
評点合計 21.9 24.6 28.0 29.4 29.1
全サイズ(KB) 1097 1182 1071 1079 1285

iTunesの192kbps AACが最も高音質のようだが、この領域になると、一般的な楽曲では全く違いが分からないため、テストは困難。fatboyと27-カスタネットは、MP3が苦手とする音として知られていて、320kbpsでも違いを聞き取るのは難しくないが、そのような音が実際の楽曲に出ることはめったにない。
(2012年1月追記) 精密度を上げたテストを行いました。

実験過程

特に圧縮音源に不利な楽器を含む6種の音源を、MP3はLAME 3.98.4(最新)とLAME 3.92(2002年)、Ogg VorbisはaoTuV beta5.7、AACはneroAACEnc 1.5.1とqtaacenc(QuickTimeのエンコーダを借りてエンコードするプログラム)でエンコードQuickTimeは7.6.8。iTunesは内部的にQuickTimeのエンコーダを使っているので、おそらくiTunesから取り込んだ音とqtaacencから取り込んだ音は同じになる。
ヘッドホンはONKYO MHP-A1、親機とPCを光デジタル接続。22歳、部屋の騒音をなるべく排除して試験。


ブラインドテストの一種であるABC/HR法と、内部で使われるABXテストの様子。


ABC/HRテストは、ブラインドテストの一種。複数の評価したい音声ファイルを、プログラムが種別を伏せて並び替え、それぞれに対して、ABXテストと、採点をさせるものである。種別を伏せることで、コーデックやブランドによるプラシーボ効果も排除することができる。
ABXテストは、ブラインドテストの一種。標準音源(CDから抽出したWAVファイルなど)Aと、圧縮により劣化した音源Bを自由に聞き、その後、プログラムがXを提示する。リスナーは、XがAかBかのどちらかを当てる。例えば10回中10回、リスナーが正解した場合、まぐれでそうなる確率は1/1024つまり0.1%以下なので、自信を持ってリスナーはAとBの違いが分かると言える。いかに音に関するプラシーボ効果が大きいかを実感することができる。

音源

MP3などの圧縮コーデックに特に不利な音という基準でピックアップした6種。


true my heart-Lovable mix-/ave;new feat.Saori Sakura
【出典】True My Heart [DVTS-2121][07.09.03] トラック01
超高域のクリアさ、ノイズの少なさ、ボーカルの透明さをチェック。


愛があれば大丈夫/広瀬香美
【出典】広瀬香美 THE BEST "Love Winters" [VICL-60305][98.11.11] トラック01
右から聞こえるトライアングルの澄んだ金属音。トライアングルの代わりにフォークを叩いたような音になりやすい。


27-カスタネット音源
【出典】EBU–TECH 3253 SQAM http://tech.ebu.ch/publications/sqamcd
歯切れのよさ。MP3で圧縮すると、ジョリッという鈍い音が追加されやすい。


applaud.wv
【出典】The Eagles Hotel California (Live)
ノイズの少なさや、拍手のアタックの強さ。劣化すると、ジャラーーッというような流れるような音になってしまう。


fatboy.wv
【出典】Fatboy Slim You've Come a Long Way, Baby トラック06 Kalifornia
ボコーダーで作った声の固く澄んだ感じ。劣化すると、ジュワジュワ音がついてしまう。


Tarentella. Tarantella calabrese.wv
【出典】http://anonymousriver.hp.infoseek.co.jp/Tarantella/index.html(詳細不明)
管楽器の安定した感じ。劣化すると、最後の部分の音ががふるえて、不快なトレモロのようになる。


ポップスを聞く人はtrue my heart、愛があれば大丈夫の結果を主に参考にし、
ボコーダーで作ったような特殊な音を多用する音をエンコードする場合はfatboy、
クラシックは愛があれば大丈夫とTarentellaを参考に。
ジャズでは、applaudとTarentella、カスタネットを参考に。

ちなみに、音質評価用にFeel the Difference of the Blu-spec CD Jazz Selection 2を買って、トラック01,02,08,09を使って、CDとneroAACEnc 128kbpsで違いが分かるかABXテストしてみたのだが、このような経験から、ジャズやクラシックが圧縮音源に不向きとか、CDに収録すると「4=違いが分かるが、気にならない」以下の音質になる等の話は疑わしく思う。それと、そのCDに紛れ込んでいる15.7KHzのノイズ(ブラウン管テレビのノイズ)に文句を言う人がいないのが不思議。個人的には、トラック11の静かなシーンで少し気になる。

問題点

表が見にくい。スピーチ(会話)サンプルがない。
1〜3回しか採点していないので、体調や気まぐれの影響を受けやすい。

携帯動画変換用の、一括出力するための設定

(coresフォルダにそれぞれのexeファイルを入れると使えるようになります。)

[Item1]
Title=AllSoundTest Wavファイルから、各種エンコードを一括して行います。
TitleE=AllSoundTest
Command0=""<%AppPath%>\cores\qtaacenc" "<%InputFile%>" --abr 64 "<%OutputFile%>qt64k.m4a"
Command1=""<%AppPath%>\cores\neroAacEnc" -if "<%InputFile%>" -lc -br 64000 -of "<%OutputFile%>ne64k.mp4""
Command2=""<%AppPath%>\cores\lame" -h -V 9 -S "<%InputFile%>" "<%OutputFile%>v9.mp3""
Command3=""<%AppPath%>\cores\venc" -q0 "<%InputFile%>" "<%OutputFile%>q0.ogg""
Command4=""<%AppPath%>\cores\lame392" -b 64 "<%InputFile%>" "<%OutputFile%>cbr64k.mp3""